著者 : Richard E. Nisbett
メディア : ペーパーバック
DeweyDecimalNumber : 153.4
EAN : 9780743255356
Edition : Reprint
ISBN : 0743255356
レーベル : Free Pr
メーカー : Free Pr
頁数 : 288
分類 : Book
発売日 : 2004-04-21
出版 : Free Pr
スタジオ : Free Pr
Amazon.co.jp 文化によって世界観は変わっても、ものを考えるために必要な道具は同じだと、誰もが思っている。肌の色や国籍、宗教が違っても、人間が物事を知覚したり、記憶したり、推論するために使う道具はみな同じ。論理的に正しい事柄は、英語でもドイツ語でもヒンズー語でも正しいに決まっている。同じ絵画を見ている中国人とアメリカ人がいれば、彼らの脳裏に映る画像は当然同じもの、だれもが知っていることだ。
だが、それはすべて間違いだとしたら?
心理学者のリチャード・E・ニスベットがアメリカ人の生徒に、アニメーションの水中のシーンを見せたところ、生徒たちは小さな魚の中に混ざって泳いでいる大きな魚に一斉に注目した。ところが同じアニメ―ションを日本人の生徒に見せたところ、生徒たちは背景に注目したという。この異なった「ものの見方」こそ、西洋人と東アジア人の根底にある認識力の違いだ。著者のニスベット教授によれば「世界に対する考え方――見方さえも――が今日地域によって異なるのは、生態、社会構造、世界観、そして古代ギリシャや中国から現代にいたるまで残存する教育制度の違いに原因がある」という。その結果、東アジア人の考え方は「全体論的」――知覚可能な範囲を総括的にとらえ、その範囲内の物事や出来事を関連付けていく――になった。東アジア人の物の考え方は、西洋人の推論ほど範疇(はんちゅう)だとか形式論理学に依存しない。これは本質的にいえば、相対する考え方の「中道」を求める弁証法だといえる。それに対して、特に目立つものや人に注目して、その特質をつかんで範疇分けをし、さらに形式的な論理のルールをあてはめてその行動を理解しようとするのが、西洋人のものの考え方だ。
『The Geography of Thought』の内容は、ニスベット教授の、文化心理学においては草分け的といえる国際調査を裏付けるものだ。一連の比較研究は厳密で説得力があり、またその結果は読者をアッと言わせる。本書は次のような質問にも答えてくれている。たとえば、
- 古代中国人は代数や数学には秀でているのに、古代ギリシャ人ユークリッドのすばらしい業績である、幾何学に弱いのはなぜだろう?
- なぜ東アジア人は周囲の事物から一定の対象物を切り離すことができないのだろう?
- 西洋人の幼児は動詞よりも名詞を早く覚えるのに、東アジアの幼児が名詞よりも動詞を早く覚えるのはなぜだろう?
- 西洋人と東アジア人の認識方法の違いは、今後の国際政治に何らかの影響を与えていくのだろうか? それぞれの認識方法は、フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』か、それともサミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』のどちらを支持するものなのだろうか?
風水から形而上学、比較言語学から経済史にいたるまで、アリストテレスの子どもたち(西洋人)の考え方と孔子の子孫(東アジア人)の考え方との間には、大きな隔たりがある。異文化の理解と協力がこれまで以上に重要視されている現代において、本書はその隔たりへの道を示す地図と、それぞれの文化を結ぶ掛け橋の青写真の両方を、提示してくれている。(Book Description)